ヒシアマゾン死亡
ヒシアマゾンは何度か目の前で見た馬。
そのヒシアマゾン
現地時間15日夜、アメリカのポログリーンステーブルで余生を送っていたヒシアマゾンが老衰のため28歳で死亡したとJRAから発表されました。
アメリカで余生を過ごしていたんだぁ~って感じですね。
中舘英二現調教師を育てた馬
ヒシアマゾンと言えば中舘英二。
当時、中舘さんといえばツインターボなど、逃げのイメージが強く、だからと言って上手なジョッキーとは言えなかった。
そんな中舘さんがヒシアマゾンに出会い、
緒戦ダート1200mから始まり、2戦目は江田照男さんが乗って2着、京成杯3歳Sで芝で2着のあと阪神3歳牝馬Sで圧勝。
年明け京成杯で、ビコーペガサスに完敗し、
「中舘で大丈夫か?」
という雰囲気も流れたのを覚えている。
しかし、そんな声を跳ね返すように、デイリー杯クイーンCで重賞2勝目。
クリスタルC 1994年
そして、クリスタルC。
中山競馬場で見ていましたが、正直ダメだと思ったところから伸びてきて差し切った時、鳥肌が立ったのを覚えています。
距離は大丈夫か?
ただ、今日は芝1200m。
1600mのNZT4歳Sに勝利し春シーズンを終えた訳ですが、
当時マルガイは春G1出走できないということで、秋シーズン距離延長と同世代の一線級との戦いに注目が集まりました。
この年の
- 桜花賞はオグリローマン
- オークスはチョウカイキャロル
その他、 ゴールデンジャック、アグネスパレード、メモリージャスパー、ツィンクルブライド、ローブモンタント。
能力的には抜けているものの距離は持つか?
馬券を買う側としては、こちらのほうを危惧していました。
3歳牝馬No1に向けて
秋初戦はクイーンS。
中山2000m。
単勝は120円。
メンバーは手薄とは言え、休み明け、距離は未知、私はセプテンバーソングを本命にしたのを覚えています。
結果的に、心配をよそに好位から楽勝。
ローズSはアグネスパレード、ゴールデンジャックを相手にせず、迎えたエリザベス女王杯(G1)。
距離は京都2400m。
相手はオークス馬:チョウカイキャロル。
単勝180円のヒシアマゾン。
結果的に、後方から進めマクルようにあがり、チョウカイキャロル、アグネスパレードたたき合いを制し、3歳牝馬No.1 の座に。
ヒシアマゾンVSナリタブライアン 有馬記念1994年
4歳最終戦は、有馬記念。
相手は、3冠馬ナリタブライアン。
この時のナリタブライアンは敵なしの強さ。
この時は、朝から中山競馬場のパドックに陣取ったのを覚えています。
ナリタブライアンのパドックは王者の風格。
ヒシアマゾンは、馬体はいいもののチャカつき、牝馬らしい風情。
もちろん、馬券は無印。
ナリタブライアン-アイルトンシンボリと1点勝負だったのを覚えている。
結果、2500mの距離不安は一切出さずナリタブライアンの2着。
4歳同士の決着となった。
ナリタブライアン 有馬記念1994年:記念馬券
私はこのとき、大学生でした。
朝から中山競馬場に並び、真っ先にパドックへ足を運び、オッズボードの真正面の最前列に陣取りました。
12月の終わり、寒い中でしたが、ブライアンが生で見られると思うとワクワクしていたことを思い出します。
ご存知の通り、ナリタブライアンは、皐月、ダービー、菊花賞と圧勝した3冠馬。
菊花賞の前哨戦の京都新聞杯で、スターマンに苦杯を嘗め心配させたが、菊花賞できっちり変わり身を見せ、そして、この有馬記念。
メンバー的には、天皇賞(秋)でビワハヤヒデを破ったネーハイシーザーが2番人気にはなっているが、中山2500mという適性のウマではないし、ビワハヤヒデは故障を発しての惨敗であった。
結果的に、ブライアンの圧勝。
2着に、3歳牝馬最強のヒシアマゾンが入る形となった。
このころは、まだ、競馬ブームの名残もあり、過熱報道、ファンのフィーバーぶりも今以上。
レース後の場内は、南井コールでもちろん、盛り上がったのであった。
ヒシアマゾン 降着:1996年エリザベス女王杯
その後、G1を勝てなかったが、私の忘れられないレースは、1996年エリザベス女王杯。
古馬混合となり、ヒシアマゾンは5番人気。
このレースは中山で観戦。
馬券は、ダンスパートナーとフェアダンスの1点勝負。
当時は、馬連までしかなかったので、1点勝負が多かった私。
レースは、
- 1着ダンスパートナー
- 2着ヒシアマゾン
- 3着フェアダンス
で入線。
レースを終え、地下馬道を歩いている時、後ろにいたおっちゃんが、
「ヒシアマゾン」降着だぞ!
っと。
何で?
と思い、船橋法典のところのモニターで確認。
直線でヨレて、シャイニンレーサーが頭を上げている。
結果、ダンスパートナーーフェアダンスの決着で、馬券を引き換えに行ったのであった。
女傑ヒシアマゾン
それまでも女傑と呼ばれる馬はいたけど、パワフルさを兼ね備え、牡馬と渡りあえた初めて目にした馬であった。
ウォッカ、ダイワスカーレット、ジェンティルドンナ、アーモンドアイなど最近では多いが、当時は考えられず、目の前で何度も見ていたこともあってヒシアマゾンの死は残念だ。
血統
父:Theatrical(シアトリカル)
母:Katies(ケイティーズ)
【この馬の馬券のポイント】
距離延長を苦にしない
阿部 雅英氏のコメント
阿部 雅英氏(ヒシアマゾン号のオーナー 阿部 雅一郎氏のご子息)のコメント
日が沈みかけ薄暗くなった放牧地で静かに息を引き取ったという報告を受けました。ここ最近は食が細くなっていたものの、他の馬の例にはなく、ゆっくりながらも歩き回り、寝起きには問題なく見えていたということだったので、他の馬とは違うところを最期まで見せてくれていたのだと思います。
現役時代もそうですが、引退後もツアーを組まれて出羽牧場に見に行かれ、アメリカに移動後も見に行かれた方が多数いるとお聞きしていますが、沢山のファンに愛された幸せな馬だったと思います。彼女の娘を繁殖牝馬として所有していますが、彼女の名前を思い出させるような馬をターフで走らせる事が、使命だと感じています。